銀翹散
最近、板藍根の問い合わせが増えています
どこの薬局でも品切れなのだとか
確かに当薬局でも入荷されない状態が続いています
まだ若干の在庫があるので、なんとかお問い合わせに対応出来ています
そんな中、「銀翹散ありますか」とのお問い合わせがありました
「発熱ですか?喉のカゼですか?」と尋ねると
「まだ発症していないが新型コロナ対策で」とのお返事
よく調べられましたね
中国では新型コロナウイルス感染症に使用した症例があるようです
そこで今回は銀翹散がどんな薬なのかご紹介いたします
銀翹散は中国の清の時代に書かれた[温病条弁]という本に書かれています
(温病条辨とも書きます)
所謂「カゼ」と呼ばれる病気には
「寒さ」が原因である場合と(寒邪)
「温かさ」が原因である場合があります(温邪)
温病条弁はその名の通り「温邪」が悪さをしている病気のことが書かれています
銀翹散の場合は温邪が風邪と手を組んで人に襲いかかってきています
なので、温邪の熱を奪い風邪を追い出す戦略を取ります
連翹、金銀花が熱毒を冷まして治します(清熱解毒)軽くてふわふわして浮き上がる性質があるので、体表部の”風熱”と呼ばれる邪(病気の原因)を発散します
竹葉は上焦(横隔膜より上)の熱を冷まして咽頭の乾燥や発赤を緩和します(清熱)
薄荷、牛蒡子も熱を冷ましながら風熱の邪をやんわりと追い出します(辛凉解表)
淡豆豉は体表部の邪を追い出して肺にこもった熱を冷まします(解表)
荊芥は体表部にいる風邪を追い出します(辛温解表)
桔梗と甘草は肺の機能を改善して痰を除き炎症を抑え咳を止めます
市販品はこの他に清熱作用のある羚羊角が入っています
全体で肺に入っている風温の邪を除き発熱、微悪風寒、頭痛、口渇、咳嗽、咽頭痛などの症状を改善します
以上が銀翹散のかんたんな説明(専門用語多くて簡単じゃないかも)です
当薬局では「金羚感冒散」という製品をご用意しています
しかし、新型コロナウイルス感染症は銀翹散だけではありません
その時々の症状に応じて使う薬は変わってきます
安心のため予備で用意するのは構いませんが、症状が現れたときにその漢方が合っているか
相談してくださいね
今時期(4月末から5月上旬にかけて)札幌では連翹がきれいに咲いています
例年ならゆっくり花を見に行くところですが、今年は散歩ついでに眺めるにとどめます
写真は2018年5月5日に撮影した連翹の花